きょうのにっき






 





 






 





 











自転車道中膝栗毛











 







 







 






















Bike Museum













































妻もペダルも踏み越えて 広島死闘編









 








 















 











第2回「シューズを買うたらジャージもほしゅうて」

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by ホラガイ近藤




 ロードバイクいうのは、いろいろと覚えンにゃあならんことが多い。その上、とんでもない金食い虫なんじゃ。ワシとわがチネリの場合、まず最初に苦労したんがビンディングペダルの着脱。まあ、これはロードの初心者なら誰もがくぐる、いや、ビビる関門じゃ。
 ペダルとクリートはLOOK、シューズはシマノSH−R072。これだけで、チネリとは別にン万ン千円もかかっとる。嫁さんが目を吊り上げつつ、しかし心配顔で見つめる中、「サイクルフォーラム」の脇の一方通行路で店長による指導が始まった。

「じゃ、私がやって見せますからね。まず、左側のペダルを一番下にして、クリートの前側を引っ掛けて、後ろ側がカチンゆうところまで踏み込んでください。カチンゆうてハマったら、左側のペダルを少し前へ上げて踏み込んで、自転車が動き始めたところでサドルに尻を乗せます。で、右側も同じ要領でクリートの前側を引っ掛けて……」

 とりあえず、言われた通りにやってみる。
「おおッ、ハマッた、ハマッた!」
 初心者は、こうゆうことができるようになる、いうのがいちいちうれしいんよねえ。映画の「shall we ダンス?」じゃないけど、正しいステップを踏めるようになった気がして。ほいで(それで)、20〜30メートルほど進んだところで折り返し、止まる直前、はたと気がついた。
「そそそそそそ、それでそれでそれで、これ外す時はどうすりゃァええンですか?」
「止まる直前、外したい方の側のペダルを一番下にして、踵を少し上げて外側にコジる(捻るの意)ンですよ。そうすると、後ろ側からパカッ、と外れますけエ」
「ここここここ、こおですかいのオ」
 コジろうにも、うまくコジれん。
「ああッ、危ない!」
 店長が叫んだ直後、何とか右足を外して、いや、クリートがペダルから外れてくれて、無事地面に着地。

「今のは少し危なかったですよ。初めのうちは、スピードを落としたら、停まるまでにゃ外しとかんと。バランスを崩して、立ちゴケしますから。それと、足を着くほうは、車道を走っとるときに車がおらんほう、左側が主ですからね。そっちの練習を重点的にやっといたほうがエエでしょう」

 こんときばかりは、嫁さんに言われたもんじゃ。
「……お父さん、そのうち、ペダルが外れンで、倒れたところを車に轢かれるんじゃないンね」
「何を言いよるン。慣れりゃあ大丈夫じゃ、慣れりゃあ。なぁに、こがぁなもん最初だけよね、難しいのは……」
 実はこの時、ワシも内心、マジに冷や汗をかいとった。じゃが、ここで嫁さんに弱味を見せたら最後。
「ほうじゃろう、危ないじゃろう、自転車は辞めんサイ!」
 などと言われてしまっては元も子もない。ココしばらくは何としても涼しい顔してやり過ごさねばならん! 一所懸命、何食わぬ顔を取り繕い、チネリを家に連れて帰ったワシであった。

 さて、チネリの購入直後、嫁さんに問題視された置き場所。いろいろ揉めたが、玄関脇で決着した。
 そのチネリを夕食まで眺め、風呂から出て眺め、布団に入るまで眺め続ける日が続く。30代後半にして、初めて手に入れたロードレーサー。大袈裟な話じゃけど、自分の子供が生まれた時と同じ位にうれしかったもんよ。

 さて、納車の翌日。ワシはもう、走りとうて走りとうてたまらん。が、その前にまたも嫁さんが。
「お父さんばっかり楽しんでから……わたしは一体、何のために生活しよるン」
 言われてみれば、当時は最初の子供(生後8カ月)を風呂に入れるだけで、後はすべて嫁さんに任せきり。
「ウッ、出とる。係りの方〜(嫁さんのことね)! ウンチで〜す。早く早く!」
「なんで気がついたらすぐに処理してあげんのン! 可哀相じゃないね!」
「いやあ、こうゆうことは係りの方のほうが処理がうまいけンねえ。ハイ、新しいオムツですよ〜。コッチは捨てとくケエね〜」

 こうゆう状況下にありながら、さらにワシだけ自転車で走り放題では、文句を言われても仕方がない。で、走る時間を制限することを取引材料にしようと考えた。
「ほいじゃア、2時間、2時間くらい走ってくるけえ。それぐらいならエエじゃろ?」
「ホンマに2時間で帰ってくるんじゃね。嘘をついたら許さんケエね!」
 ……これは失敗じゃった。以後、走るのは週1日。それも2〜3時間程度とゆう暗黙の了解を強いられてしもうた。
 さらに嫁さん、何とも意外な文句ぅつけてきたんじゃ。
「エエ〜ッ、ダッさー! そうようなヘンなカッコで走るン。もっとましなカッコをしんさいやア!」
 このころの乗車スタイル、上はエディバウアーのよれよれ長袖トレーナー! 下は20年前に購入したアシックスのサイドライン入りの擦り切れかけた超骨董品ジャージ! サイクルグローブの代わりはカラー軍手! ヘルメットも大袈裟過ぎて嫌だったのでジャックウルフスキンのメッシュキャップ! ……とゆうようなワシのカッコを大いに笑っているアナタ、自分の世代を自覚しましょう。


いまでこそ、ロードレーサーで走るときにはレーサージャージ&パンツ、ヘルメットはもちろんグローブ、サングラスが当たり前となっとるワシ。しかし、チネリ購入当時にはまだ、あのやたらと目立つスタイルだけはご免こうむりたかったンよ。レース場ならまだしも公道を、このワシが、あのカッコで走るなどとは夢にも思うとらんかった。
 大体、ワシゃ昔から日焼けが嫌いでのオ。夏の外出時には必ず麦藁帽子をかぶり、上は長袖、下は長ズボン。サイクルウエアを常用するようになったいまでも、紫外線の強い日は必ずUVカットクリームを塗っとるほど。
 このとき、嫁さんいわく。
「そのカッコもあのカッコ(レーサージャー&パンツ)もどっちもどっちじゃけどねえ。まあ、コケんさんナよ。カッコ悪いケエ」
 やっぱりジャージが必要かのオ……という考えが頭をよぎったとき、嫁さんとの次なる戦いのゴングが鳴ったんじゃ。

(続く)

2005 / 12 / 15 (木)



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元新聞記者 上野さんのひとりごと





















 















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