きょうのにっき






 





 






 





 











自転車道中膝栗毛











 







 







 






















第一章「荒川自転車道」其之壱

by アカサカサイクル編C長



この道は、埼玉県川越市は地元民の憩いの場、秋ヶ瀬公園を出たところから始まる……。
不惑の齢を越えながら、なお惑いに惑い、迷いに迷いつつ、巡り巡った道また道をご紹介する自転車道中膝栗毛。
まず最初にお付き合い願いますは……?


※写真をクリックすると拡大、別角度の写真がご覧になれます。




「おおい、待ってくれえ!」
 初めてここに連れてきた友人、ブルーザー・トモロウ
の背中が見る見る小さくなってゆく。見えませんか? 延々と続く一本道の彼方、芥子粒のような点と化した大男の背中、白いTシャツが……って、見えるわけないか。
 この荒川自転車道のとば口に達するや否や、〈凄い眺めですね〉と感に堪えないようにつぶやいたこやつ、次の瞬間にはもうズギューン! あっという間に「亡国のイージス」から発射されたミサイルと化したのでありました。なんで自転車乗りってえのはこうも人の言うことを聞かねえんだろう。〈おい、ここで写真撮って行くからな〉と言った矢先にもうこれなんだから。
 しかし、これが道の持つ〈力〉なのかもしれません。〈人の往くところ、道はできる〉と先人は言った。が、自転車の場合は違う。とりわけ、整備された舗装路を走るロードバイクで往く道は。そういうバイクのために切り拓かれた道を目の当たりにしたとき、おっさんは少年に戻る。家に帰れば親に叱られるとわかっていながら、それでも陽が沈むまでペダルを踏み込み続けていた子供のころに。
 私もまた、そういう道に魅入られたしがない中年自転車乗りのひとりであります。見晴るかす真っ平らな地平線、その真ん中を真っ直ぐに延々と続く一本道。かくも雄大な風景を目にするにはアメリカかオーストラリアかユーラシア大陸か、どれほど身近であっても北海道の原野にでも行くしかないだろう。都会に暮らす一般の人間なら誰しもそう思いがちで、関東平野の広さを実感できる一本道があろうなどとは想像だにできない。それも、とりわけ、ほんの近くの東京に住んでいる人間ほど。
 私にしてもブルーザーにしても、自転車を始めるまでの移動手段はもっぱら徒歩、でなければ電車や自動車だった。そんなごくごくふつうの日常を送っている限り、関東平野のなんと広大なことか、それに引き換え、自分という存在のなんとちっぽけなことよ、そう実感することもなかったに違いありません。
 何故なら、この道を走りきるには自転車に乗り、ペダルをこぐしかないから。実際、道のそこここにはこんな標識が掲げられています。


「いや、笑いますね。笑うしかない。人間、いきなりこんな風景を見せられると」
 ブルーザーの言うことは、まったくもって正しい。人間、どう反応していいのかわからない事態に直面すると、戸惑いのあまり、つい笑ってしまうもの。実際、いつ来ても、何度走っても、この広大さには圧倒される。下の写真の背景に目を凝らせば、遥か彼方の地平線がレンズの表面ごとく、緩やかな曲線を描いていることが認められるでしょう。
 あらためての発見! 「地球は丸かった!」


 さて、一口に「荒川」と申しましても、長うござんす。東京都の葛西臨海公園を河口として水源まで遡ると甲武ヶ信岳まで達して、その総距離たるや実に約173km! 上流は熊谷を経て長瀞へと続き、さらに秩父湖へと至る。JR熊谷駅の近くにかかる荒川大橋をゴールとみなした河口からの片道約75qをポタリングするサイクリストもいれば、長瀞まで足を伸ばしてラフティングに興じなければ納まらない、てなトライアスリートもいたりして、道も様々なら楽しみ方もまた人様々。
 ただ、「荒川」と聞いて誰もが頭に思い浮かべるのが、「3年B組金八先生」のロケ地にもなっているあの土手でしょう。両岸の土手にはアスファルトによる舗装路があり、これを「自転車道」の一部と見做している自転車乗りも少なくない。かくいう私もそうでして、自転車遊びにはまったころには河口から秋ヶ瀬公園まで、約35qをトロトロと流しながら脚を鍛えたもの。最初に1日100Kmの目標をクリアしたのも、最高速度57・7km/hに達したのもこの道だった。
 ここにご紹介するのは、その土手の道をさらに北上し、秋ヶ瀬公園を抜けたところにある道、埼玉県が指定する荒川自転車道です。さいたま市・常盤の北浦和駅から東松山市滑川町福田にある中央森林公園まで、全長46・5kmのサイクリングロードのこと
 われわれのように東京からツーリングに出かける場合、秋ヶ瀬公園をスタート地点にするサイクリストが多い。この公園の駐車場へクルマで自転車を運び、約3kmの外周道路を抜け、一番上の写真の入口から入ってゆく。たまぁに〈自転車は根性じゃ!〉とばかり、自宅から自走で森林公園まで突っ走ることもありますがね。往復150kmなんて気違いじみた距離は、よほど体調のいい時でもなければ、そうそう走れるものではない。風景を楽しみながら走るなら、やはり秋ヶ瀬から出発するのがベストでしょう。
 走る、走る、走る。初っ端に「飛び出した」三十代半ばの友人に引っ張ってもらいながら、ただひたすら走り続ける。見渡す限りの水田を左手に眺めつつ、治水橋を越え、埼玉栄高校野球部のグラウンドを横目に見やり、さらにJR川越線の踏切を越えて、トロトロと走ること約10km。何やら動物の唸る声が聞こえてくる。

「ンモオオオオオオ〜〜ッ!」

 上尾市に差し掛かるや、彼方の土手に見えてきたのは牛たちの姿。都心からわずか40q余りで、こんなにも田舎臭い風景に出くわそうとは。これまた、自転車に乗っていなければ決して目にすることのなかった異空間……て言うとあまりにも大袈裟か。
 しかし、せっかくの機会、早速放牧された牛を背後に1枚パチリ! と撮ったところが、ありゃりゃ、頬が引き攣っておる。いや、実際に見てみればわかるけれど、かくも間近に見る牛、結構な迫力があるもの。目の前で〈ンモオオオ〜ッ!〉などと咆哮されると、思わず後退りしてしまいますぞ。


 この牧場をやり過ごし、今度は新上江橋に乗る。その橋の真ん中、荒川と入間川の分岐点へとサイクリングロードは続く。しかし、これはまだまだ、この遥かなる道の序の口なのでありました。

(続く)

2005 / 12 / 10 (土)



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